名古屋高等裁判所 昭和63年(ネ)403号 判決 1990年5月31日
控訴人
ナトコペイント株式会社
右代表者代表取締役
粕谷忠晴
右訴訟代理人弁護士
山田靖典
同
齋藤勉
同
加藤茂
同
坂口良行
同
林克行
被控訴人
大矢均
被控訴人
渡辺真和
被控訴人
細江辰也
被控訴人
佐藤英機
被控訴人
恒川周市
被控訴人
加藤一美
右被控訴人ら訴訟代理人弁護士
杉浦豊
同
渥美玲子
同
水野幹男
同
渥美雅康
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の申立
一 控訴人(控訴の趣旨)
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人らを申請人とし、控訴人を被申請人とする名古屋地方裁判所昭和五七年(ヨ)第一九〇八号仮の地位を定める等仮処分申請事件につき、同裁判所が昭和五九年九月二八日にした仮処分決定を取り消す。
3 被控訴人らの右仮処分申請をいずれも却下する。
4 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。
二 被控訴人ら(控訴の趣旨に対する答弁)
主文と同旨。
第二当事者の主張
当事者の主張は、次に付加するほか、原判決事実摘示第二項記載のとおりであるから、これを引用する。なお、原判決三枚目裏七行目の「名古屋合同支部(」の後に「現在の名称は、全労連・全国一般労働組合愛知地方本部あいち支部。」を加え、同一〇行目の「総評」を「全労連・」に改める。
(控訴人の付加した陳述)
一 本件配転の経緯、必要性等
(略)
第三疎明関係
疎明関係は、原審及び当審訴訟記録中の疎明に関する目録記載のとおりであるから、これらを引用する(略)。
理由
一 当裁判所も、控訴人の被控訴人らに対する本件配転はいずれも、不当労働行為に当たるから無効であり、被控訴人らは、いずれも原判決別紙本件配置転換命令目録(略)記載の各配置転換先において勤務する義務はなく、また、控訴人に対し、民法五三六条二項に則り、後記二の限度で、従業員として支払を受けるべき賃金その他の請求権を取得しているものと判断する。その理由は、次に訂正、付加するほか、原判決理由一ないし六項説示のとおりであるから、これを引用する。なお、引用部分(他の引用部分も含む。)中に書証の表示として「甲」「乙」とあるのは、すべて「疎甲」「疎乙」に改める。
1~15(略)
二 被控訴人らが控訴人から支払を受けるべき賃金等の額は、左記のとおりであると判断する。その理由は、原判決理由七項のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決一〇五枚目裏一〇行目の「次のとおり」を「当裁判所の認定額(左記表示)のとおり」に改め、同一〇六枚目表二ないし七行目を削る。
記
1 昭和五八年八月までの未払給与・一時金員の合計額
被控訴人大矢 六四九万一二七七円
被控訴人渡辺 四六七万二二〇三円
被控訴人細江 四〇三万四〇九五円
被控訴人佐藤 六四九万四五八二円
被控訴人恒川 三四七万〇一五一円
被控訴人加藤 三四五万四九五一円
2 昭和五八年九月以降の毎月支払われるべき給与の額
被控訴人大矢 三〇万三九七〇円
被控訴人渡辺 二二万七〇九二円
被控訴人細江 一九万一四九二円
被控訴人佐藤 二九万七一四二円
被控訴人恒川 一六万八二一七円
被控訴人加藤 一七万三七二五円
三 当裁判所も、被控訴人らの申立に係る本件各仮処分申請については、原判決認可の限度(その原決定たる仮処分決定認容の限度)で保全の必要性も認められるものと判断する。その理由は、次に訂正、付加するほか、原判決理由八項説示のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決一〇六枚目裏三行目の「これ」の後に「と弁論の全趣旨」を、同一〇七枚目裏三行目の次に、行を改めて「(一)掲記の疎明資料等によれば、被控訴人らの昭和五八年当時における生活状況等が以下(1)ないし(6)のとおりであったこと、現在まで、右の状況に特段の基本的変更がないことが一応認められる。また、これに基づき保全の必要が認められる額は、以下(1)ないし(6)の各結論部分記載のとおりである。」を、同一〇九枚目裏七行目の「営業している」の後に「(ただし、前示のとおり平成元年八月、経営不振により廃業)」をそれぞれ加え、同一一〇枚目表七行目の次に、行を改めて次のとおり加える。
「なお、被控訴人佐藤につき控訴人指摘のとおり居宅の新築や自動車購入の事実が存することは、前示のとおりであるが、前示と同様、(証拠略)を参酌し、併せて、同被控訴人につき認めるべき仮払の額が給与等の六割と、被控訴人ら中最低の割合であることも念頭に置けば、右のような事実の存在は、いまだ前記結論を覆すには足りないものというべきである。」
2 同一一二枚目裏末行の「ための出費は、」を「ために出費を余儀なくされているといったことは、」に、同一一三枚目表一行目の「出費」を「事柄」にそれぞれ改める。
四 以上によれば、被控訴人らの本件各仮処分申請は、いずれも名古屋地方裁判所が昭和五九年九月二八日付仮処分決定で認容した限度で理由がある。
よって、右仮処分決定を認可した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 浅香恒久 裁判官窪田季夫、同畑中英明は、転補につき署名押印することができない。裁判長裁判官 浅香恒久)